
言葉は時に無力で空疎、されど人間を立て直すのも「言葉」
紅野 謙介 (日本大学/日本近代文学)
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■私も被災した身であるが、被災地の人々に何を言えば良いのか。「頑張ろう」だけで済ませるのはどこか物足りないうえに少し無責任だと思う。日本に向けてのメッセージには「Pray for Japan」という言葉も多い。祈ることも励みになるが言葉だけでは足りないことだってある。言葉を行動に移すには何をするのか。そして嘘や浅はかな言動を避けるにはどうするのか。無力な言葉を見極めることが大切なのではないかと改めて感じた。(中3・女子・アルト)
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■地震が起きて少し経った頃のテレビ・インターネットの言論を思い出してみると、紅野先生が言っているように、言葉への不信と安売りを思わせる発言が多かったと今更ながらに思いました。確かに現代ではインターネットなどでの発言が容易になったため、言葉を探る懸命な思いが薄れてきているように思います。(中3・女子・M.T)
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■私は石巻に住んでいた祖父を亡くしました。今まで何気なく見ていた町の変わり果てた風景を見て言葉を失いました。その祖父から私は戦争の話を聞いたことがあります。その時大きな衝撃を受けました。戦争時生きていた人間からその話を直接聞いたことはとても貴重な体験だったのだと思います。今回の東日本大震災もただ「大変だったね」だけで終わらせたくありません。後世の人々に言葉で伝えることができるのは私たちなのだと思います。(中3・女子・A.O)
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■今回の震災で福島県は地震・原発・風評被害と様々な問題に直面しています。中でも原発による風評被害によって福島県は多大な影響を受けています。なぜあのようなことをするのか、私は日々怒りでいっぱいでした。でもそんな風評被害に負けない人たちの言葉や他県の人々の言葉によって救われました。確かに言葉は無力で空疎、されど人間を立て直すのも「言葉」だと改めて実感しました。(高3・S.E)
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■私が今まで考えてきたものとまったく同じで驚きました。震災についてテレビ番組の特集が何度もあり、それを見るたびにこの番組は何を伝えたいのか、また政治家が東北電力に罵詈雑言を吐いているのを見て、今まで受けてきた恩恵や感謝の気持ちはこうもあっさりと消えてしまうんだなと思いました。人間の醜さがこういうときに限って表面に出てくるんですね。(高2・女子・M.M)
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■紅野先生がおっしゃるように今回の震災で私は「言葉」の大切さを感じました。テレビで見たのは、家が津波で流された人たちに優しく包み込むような言葉をかけていた芸能人の姿でした。私自身それらの言葉を聞いたら心が安らぎました。私は言葉を傷つける道具としてではなく、人々をほっとさせる道具として使えるようにもっともっと言葉を詳しく学んでいきたいです。
3月11日の大震災があった時私は学校で部活をしていました。勿論この震災で交通が滞ってしまったため帰る手段がなく学校にとどまっていました。「大丈夫だよ」、「安心して」などと言葉がかけられるたびにとても心がほっとしました。私が感動したのは、人を思いやる「優しさ」でした。水道も出ずトイレの水が流れないときに、野球部の人がプールの水を運んだり、懐中電灯などを電気代わりに使用させてくれたり。今回の大震災が乗り越えられたのも人々の優しさなのだと思います。私はそういった優しさを大切にしていきたいです。(高2・女子・R.S)
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■私も実際にあの大震災を体験した一人なので、「言葉を失う」ということがどのようなことなのかはよくわかる。あまりのショックになかなか心の整理がつかず、心が沈んでいた時、私は周囲からかけられた言葉によって立ち直ることができた。そんな体験をした私は最近メディアを見ていて違和感を感じることがある。誰が悪いとか、誰がだめだとかそんなことをメディアが取り上げてどうなるのだろう。今必要なことは今も心に傷を負っている人に手を差し伸べ、この大きな傷を忘れないようにすることではないのかと私は思う。だから紅野先生のおっしゃる「立て直す言葉を取り戻すこと」というのはとても印象に残った。(高2・女子・Y.O)
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■私たちは電気、安全な水、ガス、その他たくさんの便利なものを使うことに頼り過ぎていたのかもしれないと思った。また紅野先生がおっしゃる通り、この大震災に対し私たちは「ウソだ、ありえない」などと、現実を直視できないというより直視したくないという気持ちが強く表れていたのではないかと思った。子どもはもちろん、大人、自衛隊さらには日本政府でさえ、この事態を解決できないのだから。私たちは3.11の大震災、それに伴う多くの人々の戦い、それを決して忘れてはならない。絶対に!(高2・女子・ぽこちゃん)
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■紅野先生の話から、人間は自分にとって嫌なことがふりかかると他人へその負のエネルギーをはらし、そして人間は大なり小なり負の歴史を繰り返していると思いました。その負の感情をどのようにして抑え、今後のことに役立てるかということがこれからの課題になると思いました。(高2・男子・K.K)
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■被害に遭った人にどんな言葉をかけても慰めの言葉にはならない...本当にそれを実感します。どんな言葉をかけても、その人の苦しみを和らげることができない気がしました。自分が苦しんでいるとき、どうしてもらいたいのか真剣に考えたいと思いました。(高3・J.B)
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■地震から少し経ったあと、そのことについてむやみに語りたくなったということには憶えがありました。言葉の重みや言葉が人に与える影響について改めて考える機会になりました。立て直すための前向きな言葉を心から言えるように模索していきたいです。(高3・女子)
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■自分も3月11日の大震災の後、言葉の意味をこれまでになく深く考えた。特に自分が注目したのはテレビだ。震災から半年ほど経った今でも特集などでよく取り上げられているが、どこか「お涙頂戴」といった薄っぺらな言葉の選択のように感じられる。少なくとも自分は慎重に言葉を選び、自分の考えが正しく伝わるようにしていきたい。(中3・女子・K.O)
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■題名を見て一番心に入り込んできました。震災・津波のあとテレビなどで被災地へ訪れる方の映像を見ていて、いったいどんな言葉をかけているのだろう、自分なら何と声をかけるだろうと考えていました。一言で人を傷つけることもあり、逆に一言で救われることもあります。このメッセージを読んで改めて人をあたたかな気持ちにできる言葉を使いたいと感じました。(高3・女子)
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■ほんとに震災のときは何を言っても悪い方に聞こえたり、偽善みたいにとらえたりすることが多かったと思いました。これは友だちが落ち込んでいたりする時にも当てはまると思います。自分の言ってあげたい言葉が見つからないと思うことが多くあるので、もっと勉強して、自分の中の言葉の数を増やしたいと思いました。(高2・女子・K)
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■私は紅野先生のメッセージにとても納得しました。震災直後はラジオで流れる勇気や元気の出る曲、頑張ろうというメッセージがとても心に強くひびきました。しかし何日もつづくとうっとうしく感じ嫌になりました。このようなときお互いにどんな言葉が一番ほしいのかを考えることが大切なのだと思いました。(高2・女子・M)
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■紅野先生の書かれている通り、言葉によって人をなぐさめたり、人を非難したりということが今回の震災では浮き彫りになっていた。人をなぐさめたりするのには自分の頭でしっかりと言葉を選び口に出していたが、人を攻めるときにはポンポンと出てきた言葉によって人を攻撃していたと思う。この言葉というものを相手の心を思いやって使えるようになりたいと思った。(高1・男子・くじら)
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■震災を通して「言葉」の持つ様々の面を見つけた。被災地へのなぐさめとなるものも悪口となるものもあった。形のないものなのに、こんなにも人の心に跡を残すのが言葉なのかと思った。学問も文学もコミュニケーションも言葉なくしては成り立たないが、これからは言葉の持つ重み、一言一言を思いながら日々を生きて行きたい。(高3・女子・M.S)
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■「言葉」についての先生のメッセージを読んで、今まで何となく見聞きしていた被災地への応援メッセージや今後の政治への意見について考えさせられた。先生が言うように今回の震災で言葉の無力さを感じると共に言葉の大切さというものを感じた。テレビや新聞などで震災のことが報道されているのを見てもやもやすることもあったが、今回のメッセージを読み、このような新しい視点があるのだと思った。(高2・女子・M.I)