プロフィール画像【 7.文化・文明を探り、人を知る 】

大震災とともに考える~優先順位の組み換えが生み出す新たな「価値」

野家 啓一 (東北大学/科学哲学、現代哲学)




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■実際に私もこの大震災を経験して「価値観」が大きく変わった。家族や地域の方々とのつながり、ひとつになることの大切さ。大自然の圧倒的な力の中での人間の無力さ。その中で人生を生きていくことの宿命。これから大学進学する上で人として生きていく糧を培っていきたい。(中3・男子・SOSO)

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■私自身も今回の震災で自分がこれまで恵まれ過ぎた環境にいたんだと感じた。電気、水道、ガスのライフラインは当たり前に使えるものではないのだと思い知らされた気がした。不自由な生活をしてみないと気がつかないことは、自分の当たり前という概念の中にあるのだと思う。だから野家啓先生さんの、物事の優先順位、何を大切なもの、かけがえのないものと考えるかということの優先順位を組み換え、新しい価値を見出すことは私たちの義務と言っていることがすごく印象に残った。(中3・女子・R.I)

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■今回の東日本大震災は確かに我々日本人に大きな被害をもたらしましたが、それを新たな価値として見出すという野家先生の言葉には考えさせられるところがありました。今の私たちは一世代昔よりもずっと多くのものに囲まれているためにその価値を見失いがちです。それを見直す一つの転換期として今回の震災を受け止めることもできるでしょう。(中3・男子)

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■私も今までいかに自分が無駄なエネルギーを使っていたのかを痛感した。夜は9時にふとんに入り、朝は明るくなると同時に起きる、といった人間本来の「生き方」というのを経験できた気がする。しかしそれだけ多くのことを感じても、3.11から約半年経った今、また以前の「メタボ化」の生活に戻りつつある気がする。何が人々にとって最も「価値」があるのか、それを考え、社会に出て活かしていけるようにしたいと思った。(中3・女子)

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■つい先日、多賀城市と塩釜市のボランティアに行ったときの礼状が届きました。3月11日の地震から約6カ月が経とうとしている今、ライフラインが止まり、復旧したときのあの感動が薄れたかのようにまた電気などを使い始めてきました。これを読んで電気、ガス、水がどれだけ大切か思い出しました。また節電を心がけたいです。(高2・M.T)

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■「普段のライフスタイルがいかにメタボ化していたか」という文が印象的です。あの震災でライフラインが止まり、家の中もぐちゃぐちゃでため息ばかりでしたが、その中でも電気がついていないため星が輝いて見えたり、本当に必要なものは何かわかったりと新しい発見も多くあったことを思い出しました。大震災という貴重な体験を良い方向に考えていきたいと思います。(高2・女子・R.I)

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■「これまでいかに多くの不必要なものに囲まれ、余計なものを貯め込んできたか」「これまでいかに過剰なエネルギーを浪費してきたか」というのが印象に残った。震災のあとライフラインが止まっているとき、自分も同じように感じた。そしてエネルギーの大切さをとても感じた。電気がついた時、こんなに明るい中で生活していたのかと驚いたし、普通の生活を送れることにとても感謝した。半年経って忘れかけていたけれど、これを読んで思い出せて良かった。(高2・女子・F.K)

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■先生方がおっしゃっていることにとても同感しました。私は今回のような地震は初めてのことであり、普通に使っていたライフラインが止まってしまい、パニックになってしまったのを今でも憶えています。今回この地震を通して自分がいかに無駄に電気を使っているのかがわかったので今後の生活に生かしたい。(高2・男子・Y.N)

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■現代日本人がとにかく忘れっぽく、マスコミがとりたてないと騒ぎださないという悪い癖がある。オイルショックの前後でも野家先生が言うほどの価値観の変化があるように思えず、これからは震災のことなど記憶から薄れていくだろう。(高2・女子・しょうし)